【妄想鼻血トピ】萌えドラマを語ろう会 25
沈んでばかりもいられないので、通常運転します。
と言っても、楽しく観た話ではなく、怒って観るのをやめた話です。
★『アラン・カーの冒険
アガサ・クリスティの世界』Mysteryチャンネル
2021年にイギリスで放送された番組で、コメディアンのアラン・カーがナビゲーター。ゲイだから喋り方も少し違うのかしら、字幕がオネエ口調なのよ。シャツがすっごく派手なのもビックリしちゃうわ。←こんな感じの文体です。元に戻します。
予告が出た時から楽しみにしていましたが、内容はしっかりしてるのに誤訳が多くて、あれ?と思うたびに都度事実確認をしないといけないので、第1回でもう嫌になってきました。
①クリスティファンで推理作家でもあるコールズ牧師がクリスティの人物像について語る場面。
「彼女は1890年に生まれた
後期ヴィクトリア朝が生んだ異教徒だ」
異教徒…私は当然クリスティは英国国教会信者だと思っていましたが、たとえカトリックだったとしても同じキリスト教徒です。それを牧師さんが「異教徒」と呼ぶなんてちょっと言葉がキツすぎません?
英語のヒアリングは苦手ですが、頑張りました。
1890とかヴィクトリア朝とか知ってる単語を消去して残った単語が 'gentile' 。辞書を引くと確かに「異教徒」という訳ですが、「(ユダヤ人から見ての)異教徒」、つまり英語圏では「キリスト教徒」として使われてるみたいです。 'gentile' という単語を知らなかった私が言うのも図々しいですが、字幕つける人がクリスティのこと最低限知ってたら、この字幕おかしいなってなったはず。
②曾孫のプリチャード氏との会話
クリスティがちょっと変わり者(eccentric)だった?という質問に対して、プリチャード氏が
「優しかったよ」
と半笑いで答えるシーン。会話になってません。
"She was one of the kind."
中学で習うやん、kind(形)とkind(名)の違い。これはうちの中2には分からんかも知れへんけど字幕の人は分かるんちゃうん…。
実際、クリスティは優しくて変わり者だったと思う。
③生まれ故郷トーキーについて
クリスティはデボン州のトーキー(Torquay)で生まれ育ち、私の年齢でまたトーキーに戻り晩年まで過ごします。いくつかの作品の舞台にもなった土地です。何ヶ所かやらかしてます。
・アランのナレーション
「1890年トーキーで生まれ
リヴィエラで育ったアガサ」
リヴィエラって言ったら、普通はイタリア〜フランスのお洒落な海岸避暑地(または森進一)ですよね。アガサはそんなとこで育ってないよ!
・トーキー在住の作家ニューベリー氏
「リヴィエラへようこそ」
いや、そこ思い切りトーキーの丘の上やけど!!
トーキーは大戦後に保養地として栄え「イギリスのリヴィエラ」と呼ばれたそうで、ナレーションもニューベリー氏も、ちゃんと "English Riviera" と言ってます。
勝手にクリスティの育った土地を外国にしてしまうなんて、「とらやの羊羹」を持ってアガサにお詫びに行って欲しいくらいです。おふくろさんじゃなくてリヴィエラだけどね!
とにかくアガサ・クリスティについての番組で、肝心のアガサ・クリスティの生涯についての事柄が誤訳されてるということに憤慨しています。信仰や育った土地って結構大事じゃないですか?
元のイギリス製作の番組はちゃんとしてるんです。日本での字幕担当がクリスティを知らないのかGoogle翻訳なのか何か知らんけど、この番組でクリスティについて学ぼうと思った新規クリスティファンがいるかも知れないのに、嘘ばっかり教えられて、後日クリスティファンの集いとかクリスティ通掲示板とかで赤っ恥かいたらどうするの?と本気で心配です。